地理学が取り扱う空間には測地的空間とともに非測地的空間も存在するが、それに関する既存研究は十分な蓄積に欠ける。特に近年急速に普及してきた地理情報システム(略称GIS)は、非測地的空間にはまったく目を向けてこなかった。そこで、本研究では非測地的空間に関するGIS応用の可能性を追求することを目的とした。 2ヵ年計画で研究を押し進めているが、1年目の本年度は非測地的空間にかかわるデータの整理・収集を行うとともに、非測地的空間とGISの各研究分野について現状の成果と課題を整理・検討することに重心をおいた。 第1に、非測地的空間データの収集・整理に関しては、交通調査データとりわけパーソントリップ・データを有用性の高いものとして収集に努めた。特に一部の首都圏に関しては、複数年次にわたるデータの整理を終えることができたため、本来2年目に計画したものであった具体的な分析・比較作業にも部分的に着手した。 第2に、非測地的空間の分析方法に関しても展望を試みた。特に時間地図について焦点を当てた結果、既存研究は3つの分析枠組みに整理することができたが、GISやインターネットなどとの結合は、それらの分析枠組みを再構成しうるものと判断できた。 第3に、GISの現行機能と課題についても考察を行った結果、現状機能はかなり限定的であるものの、それらが非測地的空間に関して克服されれば、GISは教育など一般的・日常的な用途にも今後ますます活用されうると予測された。そるゆえに、GISの教育のついて、先進的なアメリカ合衆国の動向を探求することも併せて試みた。 なお、学会発表は裏面リストのように、まず上の第2・3の結果に関して行った。
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