研究概要 |
川端康成のノーベル賞受賞作品『雪国』に対する三島由紀夫の晩年の批判を検証するという動機付けがあったので,同作品と他の複数作品との比較を行った。とりあえずは,品詞コードをつけ,品詞や読点などの情報にもとづき,それを手がかりに同作品の文体特徴を明らかにする作業を行った。 データベース化した作品は,『雪国』をはじめ,『伊豆の踊子』,『虹』,『母の初恋』,『女の夢』,『ほくろの手紙』,『山の音』,『みづうみ』の九編である。『雪国』にかぎっては,執筆年ごとに四期に区切って分析しているが,今のところその差異性は現われていない。 現状では,一部の情報にとどまっているので,未だ明確な結論を出すに至っていないが,品詞の種類や他の情報によって,作品差や編年差が見えそうな気配である。
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