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2011 年度 実績報告書

神経細胞形態形成における細胞膜輸送と細胞骨格系とのクロストーク機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 11J00497
研究機関筑波大学

研究代表者

鈴木 篤史  筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード神経細胞 / 神経突起 / リン脂質 / フリップ・フロップ / ホスファチジルエタノールアミン
研究概要

神経細胞は特徴的な神経突起を持つ。この神経突起の形態形成が正確に制御されることは、精密な神経ネットワーク形成に必須である。本研究は、神経細胞の形態形成において重要な「細胞膜輸送」と「細胞骨格系の再構築」がどのように協調し、神経細胞の形態変化を適切に制御しているのか、その分子機構を解明するために、細胞膜リン脂質ホスファチジルエタノールアミン(PE)に着目し、PEの合成、輸送、および挙動(フリップ・フロップ運動)による神経細胞の形態形成制御機構を解析している。本年度は、神経細胞形態形成時における1.PEの合成、2.挙動(フリップ・フロップ運動)を制御する分子の役割を検討した。
1. PEの合成酵素であるエタノールアミンキナーゼ-1(Eki-1)の役割を検討したところ、Eki-1は、神経突起伸長を正に制御していることを見いだした。
2. 以前の研究から、細胞膜脂質二重層中の内層に主に存在するPEが、神経突起伸長時にはアクチン細胞骨格が重合している成長円錐で外層に強く露出していることを見いだしている。そこで、PEの挙動を制御する分子群(フリッパーゼおよびCDC50ファミリー)の神経突起伸長時における発現パターンをRT-PCR法によって検討し、哺乳動物細胞で同定されている14種類のうち10種類のフリッパーゼ、およびすべてのCDC50ファミリー分子が神経突起伸長時に発現することを見いだした。また、その中でも発現が高いと予測されたフリッパーゼおよびCDC50ファミリー分子を神経細胞に発現させ、その局在および機能を検討したところ、ATP9A、および一部のCDC50A、CDC50Bが神経突起先端部に局在すること、さらに、ATP9AおよびCDC50Bは神経突起伸長を正に制御していること、また、ATP9Aは、神経細胞の成長円錐の形態を制御していることを見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、エタノールアミンキナーゼ・1が神経突起伸長に関与すること、フリッパーゼの一つATP9Aおよびその補因子であるCDC50Bが発達期神経細胞の成長円錐に局在すること、さらにATP9Aが神経突起の伸長に重要な役割を果たしていることを見出した。これらの結果は本研究プロジェクトの核心部分の一つであり、おおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

1.ATP9Aが突起先端部の局所的なPEの露出を制御しているかどうかを確認する。
2.PEの挙動を制御し、PEのフリップ・フロップ運動が神経突起伸長やGrowth coneの形態を制御するかどうかを確認する。
3.PEのフリップ・プロップ運動がGrowth coneの形態を制御する分子の活性を調節するかどうかを確認する。
4.in vivoにおいてATP9Aが神経突起伸長を制御するかどうか確認する。
5.PEの輸送がどのような分子機構によって制御されるかを検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] NMDA Receptor-Mediated PIP5K Activation to Produce PI(4,5)P_2 Is Essential for AMPA Receptor Endocytosis during LTD2012

    • 著者名/発表者名
      Takamitsu Unoki
    • 雑誌名

      Neuron

      巻: 73 ページ: 135-148

    • DOI

      10.1016/j.neuron.2011.09.034

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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