KEKBファクトリーのBelle実験ではCsI(Tl)結晶の電磁カロリメーターを使っている。luminosityの増加と共にbeam backgroundのpileup noiseの影響も増加している。現在2x10^<33>cm^<-2>s^<-1>のluminosityで、既にエンドキャップ部ではpileup noiseが支配的で、バレル部でも電気ノイズと同程度である。 CsI(Tl)結晶のシンチレーション光は1μsecの主要崩壊成分と共にいくつかのより長い崩壊成分をもつ。simulationによると、1)波形整形の修正でpileup noiseが2割程度減少し、2)最適のfilteringで半分程度減少し、3)pole-zero cancellationを使うことにより3割程度減少する。4)多重photodiode読出しでの計算結果はNIM論文で報告されている。しかし、将来の高いluminosityでは十分ではないことが予想される。 純粋CsI結晶の場合、5)崩壊成分が約30nsであることが確認され、これにより、pileup noiseが約6分の1になることが予想される。波形を測定することにより更に3割減らすことができる。6)phototetrodeのphotocathodeから1MeVあたり約120個のphotoelectronを観測できた。これは、Belleで使用している15kGの磁場の中においてanodeからの約1200個のelectronに対応する。30nsecの波形整形を使って約1MeVと等価な電気ノイズが得られた。7)simulationにより、現状のCsI(Tl)結晶及び読出し回路を使用した場合、エンドキャップ部のpileup noiseは、design luminosity(10^<34>cm^<-2>sec^<-1>)まで行くと3MeV、更にその10倍高くなると10MeVまで増加することが予想される。これと比較して、純粋CsI結晶をphototetrodeで読み出した場合の電気ノイズ1MeVは十分に小さい。 以上の結果より、将来純粋CsI結晶が性能上使用できる可能性が高い。結晶の製作及び包装の方法、読出し回路及び高電圧の調整による、光量及びノイズの更なる向上が次の課題である。
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