研究課題
特定領域研究
1.RNA複製酵素と結合するタバコの翻訳伸長因子eEF1Aおよびリングフィンガータンパク質PHF15について、それらの発現抑制あるいは過剰発現によるTMV RNAの蓄積量を解析した結果、前者はTMV RNA複製酵素複合体の重要な1構成成分であることが明らかにされた。一方、後者はTMVの増殖を阻害する植物側の抵抗性機構に関与していることが示された。2.移行タンパク質(MP)と結合するタバコのコシャペロンタンパク質NtDnaJ-3およびこのNtDnaJ-3に結合する転写制御タンパク質NtKN1について、それらの発現抑制あるいは過剰発現によるTMV MPの蓄積量を解析した結果、両者ともにMPの安定的蓄積と細胞間移行の促進に関与していることが示された。3.植物ウイルスの細胞間移行に関与する植物側因子を明らかにする目的でTulip virus X(TVX)(Potexvirus属)のtriple gene block 1(TGB1)、-2、-3と、Apple stem grooving virus(ASGV)(Capillovirus属)のmovement protein(MP)、および両者のcoat proteinをbaitとして、宿主植物(Chenopodium quinoa)のcDNAライブラリーをもとに酵母two-hybrid法によるスクリーニングを行った。その結果、TGBp2の膜貫通ドメインを含む領域にankyrin-repeat domain containing protein(ARD)が結合することを見いだした。しかし、ARDはASGVのMPとは結合せず、細胞間移行タンパク質のタイプにより、関与する植物側因子の異なることが示された。4.2分節性プラス鎖RNAゲノムを持つムギ類萎縮ウイルスのRNA複製複合体の分離精製を試みた。5'および3'非翻訳領域の間にp152およびp211複製酵素遺伝子を持つ変異型Rep RNA1をオオムギ葉肉プロトプラストに接種した。複製Rep RNA1およびp152/p211翻訳産物を継時的に検出したところ、Rep RNA1複製量は接種9時間後に最大に達したが、p152/p211翻訳産物は24時間後まで増え続けた。接種12時間後までのp152/p211はP1可溶性画分とS15可溶性画分から検出されたが、24時間後には大半がP1不溶性画分から検出された。従って、Rep RNA1接種プロトプラスト内では感染初期に膜結合性の可溶性複製酵素によってRNAが複製し、感染後期のp152/p211複合体は不溶性で複製酵素活性を持たないものと推察された。RNA複製複合体内のp152:p211比はおよそ4:1程度だった。
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