研究課題
本研究は、日本中世(12〜16世紀)を研究対象としているが、2年目の本年度は、その前段階としての平安期および中世に続く近世初頭にまで考察の対象を広げる必要があるとの認識にたち、平安〜近世初頭における資・史料の所在調査・収集、共同研究作業などを昨年度に引き続いて行った。資・史料の所在調査・収集については、その具体的検索対象を戦争および災害に限定した。災害は、飢饉などの自然災害を主たる対象として調査・収集を行った。本年度は徳島県をふくむ四国地域の現地調査を共同で行うとともに、各地の各機関において資・史料を収集した。共同研究作業としては、調査を深化させるための報告会・研究会を通じて、いくつかの作業を並行して進めている。平安時代の戦争・災害関連記事について、『平安遺文』を用いて検索し、年表の作成を行っている。また、動乱の時代といわれる南北朝期(14世紀)に関しては、『大日本史料』(第6編)を検索し逐一年表作成を行っている。これらの作業の結果、各時代を通じて、戦争および飢饉が繰り返しあるいは同時並行的に、かつ全国的に起こっていることが判明した。さらに、近世初頭の関ヶ原の戦いにおける"禁制"を収集し、その内容・分布状況など考察することによって、民衆の、戦争への関わり方を究明することに主眼をおいて考察を加えつつある。これらの研究は、来年度中の報告書作成を目指して、目下研究成果を集約しつつあり、その過程で明らかになったいくつかの課題について、来年度も引き続き研究作業をつづけていく所存である。
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