研究概要 |
今年度は次のような実験を行い、以下の結果を得た。 1.TNF受容体欠損マウスの骨格の解析 TNF receptor type I(TNFRI)およびTNF reptor type II(TNFRII)の各受容体ノックアウトマウス及び両受容体ノックアウトマウスを米国Jackson Laboratoriesから購入し当大学で繁殖させ、実験に用いた。TNFRIノックアウトマウスではレントゲンで骨量が増加している所見がみられたので、pQCTにより解析した所、TNFRIノックアウトマウスの骨量はTNFRIIノックアウトマウス及び野生型マウスより骨量が多い事が判明した。現在、組織学的にこれらのマウスの骨を解析中である。 2.TNF受容体欠損マウスにおける骨再生機構の解析 TNFRIノックアウトマウスにおける骨再生は,TNFRIIノックアウトマウス及び野生型マウスより促進している可能性を示唆する所見が得られた。 3.TNF受容体欠損マウスにおける異所性骨形成能の検討 筋肉内にBMPを移植すると移植部に異所性骨形成が誘導される。この実験系を用いてTNF受容体欠損マウスにおける異所性骨形成能を解析した。その結果、TNFRIノックアウトマウスにおける異所性骨形成は,TNFRIIノックアウトマウス及び野生型マウスより効率良く起こることが示唆された。 4.TNF受容体欠損マウスより骨芽細胞様細胞株を樹立する試み TNFRIノックアウトマウス,TNFRIIノックアウトマウス及び両受容体ノックアウトマウスの新生仔頭蓋冠より骨芽細胞様細胞を分離し,継代培養を繰り返し,不死化細胞株の樹立を試みている。 5.IL-1alphaまたはIL-1beta欠損マウスを東京大学医科学研究所の岩倉教授より供与していただき、現在各マウスを繁殖中である。
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