研究分担者 |
村岡 倫 龍谷大学, 文学部, 専任講師 (30288633)
森田 憲司 奈良大学, 文学部, 教授 (20131609)
池内 功 四国学院大学, 文学部, 教授 (90133553)
松川 節 大谷大学, 文学部, 専任講師 (60321064)
宇野 伸浩 広島修道大学, 商学部, 教授 (60310851)
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研究概要 |
モンゴル時代の政治・行政機構は,少数者のモンゴル人が,モンゴル皇帝を頂点とする封建支配体制を形成し,その下に多数者の中国などの農耕社会を複合したものであった。農耕地帯からの兵員が新軍となり,ウイグル,ムスリムが政治,経済・財政運営を担当し,仏教・道教などの宗教集団が国家の精神的支柱となり、また政治,行政的機能も保持した.従来,モンゴル時代の歴史像は,主に『元史』など漢文編纂史料に依拠して解明されてきた。一方,碑刻・文書史料は,編纂資料からはうかがえない諸制度の具体相の抽出を可能にする。また漢文以外にペルシア語・モンゴル語・チベット語・ウイグル(古代トルコ)語など多言語のものが遺存している。本研究は,これらの多種・多言語文献,史跡などの非文献史料を積極的に利用して,モンゴル時代史に関する認識・知見を深化させることを目的として企図された。森田憲司は北京地区の石刻研究史を基礎に北京現存モンゴル時代碑文リストを作成し,石刻史料の意義を明らかにした。池内功は河南地域に駐屯モンゴル軍団長の氏族の構成・活動について新知見を提示した。村岡倫は山西地方におけるチンギス=カン諸子ウルスの存在形態を検討した。中村淳は韓国松広寺所蔵の法旨の調査も含め,現存チベット語法旨全24件のリストを作成し,元代命令文・チベット史研究の基本データとして提示した。松井太は中央アジア出土のウイグル語文書の解読成果に基づき,モンゴル支配下の当該地域の税役制度の諸相を剔出した。宇野伸浩はペルシア語史料『集史』諸写本の成立の先後関係について,原写本に依拠して新たな視点を提示した。松田孝一は技術者という人的資源の収集確保の問題に検討を加えた。松川節は新出の元代パスパ字モンゴル語文書の文献学的基礎データを整理した。
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