研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、発展途上国における民営化の具体的実施状況の分析を通じて、民営化の対象と手法の分類、定型化を行い、それを踏まえて民営化の適切なあり方を考察することにある。より具体的には、次の2つの事項を明らかにしょうとした。(1)民営化事業のあり方を体系的に整理、分析するために適した、その対象及び手法に応じたタイポロジー(類型化の方法)(2)各国途上国の状況の下での対象に応じた適切な民営化手法、方式のあり方である。研究は2年間、この目的に沿って行われ、達成できた成果は次のとおりである。1.民営化研究全体の枠組み・基礎理論の構築2.民営化の類型化に関する先行研究の整理と批判的検討3.発展途上国・移行国の具体的な、市場経済・産業の発展段階および政治社会状況における民営化のあり方の分析把握(ラテンアメリカの中進国:アルゼンチン、アジア途上国:フィリピン・タイ、アジア移行国:モンゴル、ヨーロッパ移行国:ポーランド、アフリカ途上国:ザンビア・ケニア)4.それらを踏まえた民営化の最適手法(方式)についての考察このように当初の目的はほぼ達せられ、それは研究成果報告書に示されている。さらに本研究を通じて得られた新しい知見として、民営化とグローバライゼーションとの関係、特に貧困国での民営化のもつマクロ的影響の重要性、また近年の新しい援助アプローチや援助協調・開発連携と民営化との関係などを指摘できる。これらの新しい知見を詳細に分析することは今後の課題である。また最適手法の考察を具体的な国・各地域別の個別の事例と付き合わせながら、民営化の手法と分野の対応の関係を精緻に再構成してゆくことが必要となろう。
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