研究分担者 |
小室 元政 帝京科学大学, メディアサイエンス学科, 助教授 (00186818)
岡本 久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)
深谷 賢治 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30165261)
辻井 正人 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20251598)
平出 耕一 愛媛大学, 理学部, 助教授 (50181136)
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研究概要 |
今年度,発表された研究成果は以下の通りである:深谷は周期的なハミルトン系の周期軌道の個数に関するArnold予想についての以前の結果をtorsion numberも含めた形にする改良を与え,さらにその発展の方向について論じた. 岡本は非圧縮性粘性流体におけるOseenのスパイラル流と呼ばれる流体力学における古典的な流れに関し,Reynolds数が無限大の極限からの特異摂動として内部遷移層の幅の平方根に逆比例するということの厳密な証明を与え,またその数値計算による可視化を行った. 小室は高次元力学系の大域的構造の一つの重要な情報としての不変部分空間の階層構造を,カオスニューラルネットワークと呼ばれる結合写像系を例にとって調べた.平出は閉多様体上の余次元1のアノソフ微分同相写像の非遊走集合が全空間に一致すること,およびそのときにアノソフ微分同相写像は双曲型トーラス自己同型写像と位相共役であるというNewhouseとFranksによって示された定理に対し,わかりやすい別証明を与えた.辻井は円環上のある種の半直積型の写像におけるSBR測度が,どのような条件で絶対連続になるかについて調べ,ほとんどすべての場合にそうなること,またそれが写像の摂動に関して安定であることを示した.一方,d次元ユークリッド空間上の有界な多面体領域上の拡大的な区分線型写像における絶対連続な不変測度の存在証明も与えた. この他に岡本は,非圧縮性非粘性流体の表面上の周期的進行波に関する数学的理論の現在までの研究の概要をまとめた著書を公刊した.
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