研究分担者 |
森永 力 広島県立大学, 生物資源学部, 教授 (40034417)
檜垣 宮都 東京農業大学, 地域環境学部, 教授 (50078143)
桑原 正章 京都大学, 木質研, 教授 (40035978)
大賀 祥治 九州大学, 農学部, 助教授 (60117075)
割石 博之 九州大学, 農学部, 助教授 (50253513)
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研究概要 |
ヒラタケ属きのこの育種と品種改良のため,ヒラタケ属の分類・系統・遺伝学的研究を行った。世界中のヒラタケ属きのこの菌株を収集して菌株間で交配能を検定した結果,多くの菌株間で相互に交配できることを見出し,交配能および形態学的差異の複合的視点による本属きのこの種および亜種の確定を行い,また,交配可能な亜種間交雑による高性能品種創製を可能にした。一方,ヒラタケ属きのこのrDNAのITSのPCR-RFLP分析により系統学的知見を得るとともに,mtDNAの分析によるヒラタケ属きのこの種の識別の可能性を示唆する知見を得た。さらに,代表種であるヒラタケの栄養要求性マーカーによる連鎖分析により,第7連鎖群までの遺伝地図を作製した。 ヒラタケ属きのこの細胞工学・遺伝子工学的育種技術開発では,新規な酵素の組み合わせによるプロトプラストの作成法を確立した。また,カルボキシン耐性マーカー遺伝子を用いる形質転換系を確立し,さらに選択的リグニン分解菌Cerioporiopsis subvermispora由来のマンガンペルオキシダーゼおよびラッカーゼ遺伝子を単離し,ゲノムDNAのクローン化を行った。一方,ヒラタケのプロトクローンからの変異体の誘導,誘導株のラッカーゼ活性等の試験,MTT活性の測定やプロトプラスト膜表面糖鎖のE SA解析を行い,細胞工学的に有用な知見を得た。 ヒラタケ属きのこを用いる環境有害物質分解に関する研究では,ヒラタケ属きのこのSOD,ペルオキシダーゼ,ラーッカーゼ,マンガンペルオキシダーゼ活性を探索し,高活性を示す菌株を見出し,各菌株のバイオレメディエーション能力を評価する予備的知見を得た。また,ヒラタケ属きのこの栽培に好適な国内外の樹種を探索して栽培技術の確立を図るとともに,特定樹種に菌糸成長抑制物質の存在を示唆する知見を得た。
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