研究概要 |
本年度の研究によって得られた成果は以下の通りである。 1.潮風による作物の被害程度を迅速に判定するために、クロロフイル蛍光強度の測定を行った。ブロッコリーの葉に30,000ppmの塩水を散布し、クロロフィル蛍光強度を30分毎に測定した結果、平均蛍光強度は、塩水散布後30,60,90,120,150,180分でそれぞれ0.458V,0.230V,0.180V,0.137V,0.091V,0.060Vとなり、時間の経過に伴いクロロフィル活性の低下が見られた。この結果、潮風害の被害程度を1、2時間で判定することが可能で、潮風害対策を迅速に行うための基礎資料を得ることができた。 2.レーザによる光散乱式粒子計数器で測定した粒径別の粒子数と大気質(特に黄砂と海塩粒子)との関係について調べた。2002年3月19日と4月5〜7日にモンゴルで黄砂が発生したが、唐津では3月21日と4月8〜10に5μmの粒子数が増加した。黄砂が大規模に飛来したとき、0.3μmと0.5μmの粒子数はほぼ一定であったが、1μm、3μm、5μmの粒子数の増加は顕著であった。10μmの粒子数が増加すると、降雨中の塩化ナトリウムが増加することがわかった。また微粒子数は夜間が少なく午後に増加する傾向がみられた。 3.大都市の福岡県と水田地帯の佐賀市県の境に位置する「七曲峠」における沢水中の塩素イオンと硝酸イオンの挙動について調べた。その結果次のことがあきらかになった。(1)沢水の塩素イオンは冬季は高く、季節風によって博多湾、玄海灘から運ばれてきたものである。(2)硝酸イオンは、冬季がやや高く、大陸からの酸性物質と福岡からの酸性物質によるものである。(3)夏季は福岡からの酸性物質によるものが大きく、福岡沿岸からの塩素イオンとの相関が高くなる。
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