研究課題/領域番号 |
12470210
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
土井 俊夫 徳島大学, 医学部, 教授 (60183498)
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研究分担者 |
水野 昭 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80219641)
野間 喜彦 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (10218349)
桑島 正道 徳島大学, 医学部, 助教授 (00205262)
塚口 裕康 徳島大学, 医学部, 助手 (60335792)
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キーワード | メサンギウム細胞 / 増殖 / Gas6 / Axl / ワーファリン / Gla化蛋白 / 増殖抑制 / 糸球体硬化症 |
研究概要 |
慢性腎不全に陥る患者の多くは糸球体硬化症という病理学的所見を呈する。一般に進行性腎障害はメサンギウム細胞増殖が先行し、それに引き続きメサンギウム硬化症が進展していく事が明らかにされている。しかし、その病態に最も大切な細胞増殖のkeyになる分子は未だ確定されていない。Growth Arrest Gene 6 (Gas6)はビタミンK依存性蛋白のひとつの因子として最近クローニングされたが、平滑筋細胞の増殖の重要な因子である事が明らかとなった。本研究はメサンギウム細胞の増殖制御に関与する新たな因子であるGla化蛋白であるGas6の腎障害の病因としての意義を解明するものである。 前年度はGas6のin vitroメサンギウム細胞における機序を解明したが、本年度はGas6のin vivoモデルにおける役割を明らかにした。糸球体腎炎モデルである抗Thyl腎炎はメサンギウム融解に引き続きメサンギウム細胞の増加と糸球体硬化症を惹起するモデルである。このモデルではGas6が糸球体で著明に発現増強しており、Gas6の発現とメサンギウム細胞の増加との相関を認めた。抗thyl腎炎に対するワーファリン治療群は糸球体腎炎の病変軽快とGas6の発現低下を認めた。またこのモデルに対しGas6の受容体であるAxlの細胞外ドメインを過剰に投与すると糸球体腎炎および糸球体硬化症の著明な改善を認めた。これらの結果はGas6がin vivoの糸球体疾患でもメサンギウム細胞の増殖および硬化症に密接に関連しており、進行性腎障害に対する新たなワーファリン治療の機序が解明できた。またGas6によるメサンギウム細胞増殖の機序にSTAT3の関与をin vitroおよびin vivoで解明した。この結果よりSTAT3もメサンギウム増殖腎炎のtargetになりうることが示唆された。
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