研究概要 |
我々の作製したrenin変異マウスは、2つの破壊されたrenin遺伝子(Ren)の間に、5.5kb Ren1^d5′fragment+lacZというレポーター遺伝子が挿入されている。ヘテロマウスを、低塩食、ACE阻害剤、低塩食+ACE阻害剤、ミネラロコルチコイド+NaClで処理した。いずれの条件でも、reninとlacZの発現は同様に増大または抑制された。したがって、この5.5kb Ren1^dは、これらの刺激に対応するreninの転写調節に必要な要素を含んでいることが確認された。 培養細胞を用いた研究から、Renの転写に重要ないくつかの要素が同定されているが、これらはすべてこの5.5kb内に存在している。このうち、HOX,PBX,CRE,CNRE,Eboxの各elementが、in vivoにおいて、塩分や血圧によるrenin遺伝子の転写調節にどのような役割をはたすのか検討する目的で、以下の3種類のベクターを構築した。A)5.5kb Ren1^d+EGFP+PGK-Hyg^r,B)1oxP+5.5kb Ren1^d5′fragment+lacZ+PGK-Neo^r+loxP,C)1oxP+変異5.5kb Ren1^d+lacZ+PGK-Neo^r。 ES細胞に上記(A)および(B)を導入した。現在、導入された(B)をCre recombinaseにより(C)と入れ替えている。その結果、(A)と(B)および5種類の(A)と(C)が導入されたES細胞が作製されるが、(B)および5種類の(C)は同一の染色体上に位置に導入される。今後、これらのES細胞からキメラマウスを作製し、ES由来renin産生細胞を示すEGFPが陽性の細胞で、lacZの発現を解析することにより、各elementのin vivoでの重要性を検討する。
|