ストレス刺激が顎口腔系および中枢神経系に及ぼす影響

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12470459
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 日高 修 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30252696)
• 研究分担者: 村上 秀明 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (00263301) ; 古川 惣平 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80173524) ; 高田 健治 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50127247)
• キーワード: ストレス刺激 / 咀嚼筋筋電図 / 血流 / 発汗

研究概要

著しい精神的緊張をおこす心理的ストレス下では、噛みしめや歯ぎしりなどの咀嚼筋活動の亢進が無意識に起こることが経験的に知られている。また、最近、心理的ストレス下にある動物に噛みしめを行わせると、ストレスの軽減に役立つことを示唆する報告がなされている。このように、精神・心理状態と咀嚼筋活動などの顎口腔機能との間には密接な関係が存在するようである。そこで、本研究では、ヒトにおいて、ストレス刺激が顎口腔機能にどのような影響を及ぼすのか、また、ストレス刺激はどのように中枢神経系で処理されているのかを明らかにすることを目的とした。
ストレス刺激として、ランダムに配置された10個の類似した漢字の中から、特定の指定された漢字をチェックするという作業を120分間課した(漢字チェックタスク)。
タスク中に、筋電図(左右側頭筋前部、左右咬筋、オトガイ下筋)、発汗量(左示指の指頭手掌面、前額部)、皮膚の血流(左示指の指頭手掌面)、咬筋の代謝測定(右側咬筋)、心電図について、記録を行った。咀嚼筋筋電図および心電図の記録には、既存の器材システム(ポリグラフ、シグナル・プロセッサーおよびパーソナル・コンピューター)を、発汗量、皮膚の血流、咬筋の代謝の測定には、今回申請購入した測定機器を用いた。
漢字タスクにより、側頭筋および咬筋の活動量は増大した。その増大量はタスク開始からの経過時間によっては有意に変化しなかった。また、漢字タスクへの反応は、実験日によって、大きく変化しなかった。
筋血流量の変化(自律神経の変化を示す他のパラメータと一致しての変化)は、筋電活動を伴う場合と、伴わない場合で、異なるパターンを示した。また、皮膚血流量(手指)と、筋血流量が反対の動態を示した。

研究成果

• [文献書誌] Komuro,A. et al.: "Influence of food thickness and hardness on possible feed-forward control of the masseteric muscle activity in the anesthetized rabbit"Neuroscience Research. 39. 21-29 (2001)
• [文献書誌] Masuda,Y. et al.: "Neuronal activity in the putamen and the globus pallidus of rabbit during mastication"Neuroscience Research. 39. 11-19 (2001)
• [文献書誌] Kato,T. et al.: "Characteristics of the muscle spindle endings of the masticatory muscles in the rabbit under halothane anaesthesia"Brain Research. 833. 1-9 (1999)
• [文献書誌] Hidaka,O.: "Behavior of jaw muscle spindle afferents during cortically induced rhythmic jaw movements in the anesthetized rabbit"Journal of Neurophysiology. 82. 2633-2640 (1999)
• [文献書誌] Hidaka,O.: "Influence of clenching intensity on the bite force balance, occlusal contact area and average bite pressure"Journal of Dental Research. 78. 1366-1344 (1999)
• [文献書誌] Hidaka,O: "Regulation of masticatory force during cortically induced rhythmic jaw movements in the anesthetized rabbit"Journal of Neurophysiology. 77. 3168-3179 (1997)