研究課題
基盤研究(B)
本研究では、Si基板上にエピタキシャル成長可能な半導体鉄シリサイド(β-FeSi_2)を用いて、室温で動作する赤外領域の発光ダイオード(LED)を実現することを目的に実験を行った。研究期間内に、β-FeSi_2粒をSiのpn接合で埋め込んだp-Si/β-FeSi_2粒/n-Si構造において、室温で1.6μmの発光波長を持つLEDを作製することができた。その際、下記の点が明らかとなった。1.Si/β-FeSi_2粒/Si構造を作製する際、Siの成長温度が低温(400-500℃)の時は、高温(650-750℃)で埋め込んだ時に比べて格段に発光強度が増すことが分かった。これは、β-FeSi_2のa軸方向に引っ張り歪みが導入され、間接遷移型から直接遷移型へと変化するためと考えられる。2.Si/β-FeSi_2粒/Si構造を作製する際、β-FeSi_2のサイズが150nmまではβ-FeSi_2の体積増大に伴い1.52μm(77K)をピークとする発光強度が増加した。しかし、サイズが200nmを超えると1.2-1.4μm付近にSiの欠陥と思われる発光が観察されるようになった。このため、Si中に埋め込むβ-FeSi_2のサイズは100-150nmが最適である。3.LEDの発光強度は、p-Siのドーピング濃度、成長温度にも非常に敏感であることが分かった。p型不純物としてメタホウ酸を使っているが、650℃で成長すると酸素に起因すると思われる欠陥から発光し、750℃で成長するとp-Si表面に多数のピットが現れて表面が荒れた。このため、成長温度は700℃が最適であるといえる。
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すべて 雑誌論文 (22件)
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