研究概要 |
周波数数十kHzから数MHzの強力な超音波を液体中に照射すると,微少な気泡(マイクロバブル)が生成し,崩壊するというキャビテーション現象が起こり,その崩壊時の断熱圧縮過程によって5千度・千気圧以上といわれる高温・高圧の局所反応場が短寿命に生成する。この反応場の化学工学プロセスへの応用を展開するために化学プロセスに組み込み可能な反応容積が数リットル以上の超音波化学反応装置(ソノケミカルリアクター)の開発を目的として研究をおこなった。 超音波反応装置開発のため、直方体型の反応器について以下の検討を行った。 1)音場を安定化する定在波の出来やすい直方体容器の底面に超音波振動子を装着した反応器を設計し、平均超音波強度の定量化をポルフィリン分解反応において行った。 2)回分式反応器として用いたところ、130kHzにて最大の効率を得ることができた。 3)回分式反応器では、分解反応は一次反応で進む。 4)流通型反応器として用いた場合、分解量はある時間で定常値に達し、その値は流量とともに減少した。また、分解量が定常値に達する時間は、溶液の反応器における滞留時間とよく対応した。 5)分解反応が場所、一様に起きると仮定し、流通管式反応器として扱い、一次反応を仮定して、滞留時間と分解量の定常値から分解速度定数を算出したところ回分式から求めた値とほぼ一致した。 また、ポルフィリンの分解反応の速度定数から、これまでの実験の換算式を用いて、クロロベンゼンの分解反応の速度定数を見積もるとこの反応器の分解速度定数は0.11min^<-1>と見積もることができた。この値から、クロロベンゼンの分解反応の分解率を90%として装置を稼動させると一日あたり約140lのクロロベンゼンを分解できることがわかった。
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