研究概要 |
周波数数十kHzから数MHzの強力な超音波を液体中に照射すると,微少な気泡(マイクロバブル)が生成し,崩壊するキャビテーション現象が起こり,その崩壊時の断熱圧縮過程によって5千度・千気圧以上といわれる高温・高圧の局所反応場が短寿命に生成する。この反応場の化学工学プロセスへの応用を展開するために化学プロセスに組み込み可能な反応容積が数リットル以上の超音波化学反応装置(ソノケミカルリアクター)の開発を目的として研究をおこなった。 超音波反応装置開発のため,直方体型の反応器について以下の検討を行った。12年度に作成したソノケミカルリアクターにおいてヨウ化カリウム水溶液の酸化反応をもちいて,界面の効果を検討した。この検討のために,反射板なしで流速を変化させたときでも,液面高さが維持できるように装置を改良した。 1.回分式の場合は,反射板のない自由液面の方が2割程度高率が高い。 2.反応器を流通管式反応器として扱い,滞留時間と量のI_3定常値から生成速度定数を算出できることを確認した。 3.反射板がある場合は,流速の上昇に伴い,反応速度は大きくなるが,回分式の場合,一度減少後増加する。 4.速度がある程度早くなると自由液面と反射板がある場合の差はほとんどなく,本反応器の場合流速10dm^3/h以上で反応速度は飽和した。 5.回分式で反射板の有無で溶存酸素量を測定したが,ほとんど変わらず,界面効果が溶存気体の溶け込みやすさによるものでないこと明らかとなった。
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