研究概要 |
1.新フシコクシン類の調製 20-メチル基にシアノ基を付けた生合成擬似中間体のフシコッカ-2,10(14)-ジエン-8β-オールを合成し,その代謝変換を行い,20位にシアノ基を有する新たなフシコクシンを創製することに成功した。また,20-フロロフシコクシンの生合成的関連物質を得るために,新たな極性フシコクシン類の探索を行い,新物質のフシコクシン-PとQ,3-エピフシコクシン-HとQを分離し,構造と生合成的関係を究明した。 2.フシコクシン新生産菌を用いたコチレニン関連物質の探索研究 コチレニンは「3.」で述べるように,動物細胞特にガン細胞に対して,分化誘導等の興味ある活性を有する。そこで,フシコクシンA類の産生を明らかにした本邦産のモモ枝折病菌N2株から,コチレニンアグリコンと同様な3α-水酸基を有する新フシコクシンの探索を行い,新たに3α-ヒドロキシ-3'-デアセチルフシコクシンAを分離し,その構造を明らかにした。 3.新フシコクシン類の生物活性の検討 新たに分離した新フシコクシン類の植物生理活性として,植物ホルモンABAの発芽制御作用に対す回復活性を調べ,フシコクシンPが高い活性を示すことを明らかにした。一方,コチレニンAがヒトの各種ガン細胞に極めて有効であることを明らかにし,その動物実験を展開している。 4.カビブラシノステロイドの探索研究 カビブラシノステロイドの探索を,引き続き進めている。
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