研究概要 |
1 菌類を利用したフシコクシンの量的調製 新たなフシコクシン(FC)生産菌N-74株について培養条件を検討した結果,大豆粉を用いた液体振盪培養により,生理活性の高いFC-A類の量的生産法を構築し,FC-Aとその3'-デアセチル体のグラム単位の分離・調製に成功した。FC-Jは,従来から使用のF6株を用い,ジャーファーメンター培養によって効果的に生産・調製ができることを見出した。 2 フシコクシン新生産菌を用いたコチレニン関連物質の探索 新たなN-74株について麸を用いた個体培養を検討し,強力なガン細胞制御物質のコチレニンに特有な3位水酸基を有するFC誘導体のさらなる探索を行い,新FCとして,3'-デアセチル-3α-ヒドロキシFC-A(FC-Rと命名)に加えて新化合物で3β-水酸基を有するFC-Sとそのアグリコン(ホモプシオールと命名)を分離・構造決定した。 3 ヒト骨髄性白血病細胞分化誘導活性の検討 得られたFC類について,ヒト骨髄性白血病細胞HL-60による分化誘導活性を調べた結果,従来型の各種FC類のみならず3位水酸基を有するコチレニン型FC類においても,残念ながらコチレニンAが示すような強い分化誘導活性は認められなかった。このことは,従来型のFC類に新たに3位水酸基を導入しても,白血病細胞HL-60に対して分化誘導活性を新たに付与することは期待できないものと思われた。 4 新フシコクシン類の植物生長調節活性の検討 今回新規FCとして分離したFC-RとS,およびホモプシオールについて,アブシジン酸存在下のレタス種子に対する発芽促進活性を調べた結果,FC-Rには強い発芽促進活性が認められたが,他はいずれもほとんど活性を示さなかった。
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