研究課題/領域番号 |
12556050
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
後飯 僚 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (50301552)
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研究分担者 |
林 克彦 東京理科大学, 生命科学研究所, 助手 (20287486)
柳田 誠 キリンビール株式会社, 医薬開発研究所, 部長補佐
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キーワード | アレルギー / シグナル伝達 / IgEレセプター / マスト細胞 |
研究概要 |
MISTはマスト細胞およびサイトカイン依存性細胞株に発現するSLP-76/BLNKファミリーに属するアダプター分子である。免疫レセプターシグナル伝達におけるMISTの役割を明らかにするために、BLNK欠損DT40細胞を用いて解析を行った。MIST単独の発現でB細胞抗原レセプター(BCR)シグナル伝達の部分的な回復が認められ、これにはN末69と96番目のチロシン残基(Y69,Y96)のリン酸化が必要であり、Y96にはSH2ドメインを介してPLCgが会合することが明らかになった。さらに、LATをMISTと共に発現させると、BCRシグナル伝達が完全に回復し、このLATとMISTの協調作用には、MISTのY69/Y96は必要ないことが明らかになった。しかしながら、MISTのSH2ドメインあるいは6個のチロシン残基に変異を入れるとBCRシグナル伝達の回復が不完全となることから、SH2ドメインならびに他のチロシン残基を介した分子会合がBCRシグナル伝達に必要であることが判明した。また、MISTのC端のproline-rich領域にGrb2が会合し、この領域を欠失させるとMISTとLATとの会合、MISTのraftへの移行ならびにBCR刺激によるカルシウム反応が阻害されたが、MAPキナーゼの活性化には著変は認められなかった。一方、N端のproline-rich領域を欠失させた変異体はLATと会合し、raftへの移行が認められるにもかかわらず、BCR刺激に伴うカルシウム反応およびMAPキナーゼの活性化の低下が認められた。本領域にはSH3ドメインを介してPLCgが結合することから、この結合がBCRシグナル伝達に重要であることが判明した。以上の結果から、MISTの各ドメインに会合する分子ならびにそのシグナル伝達における機能が明らかなり、このMIST/LATを発現させた細胞とBLNKを発現する細胞を用いて、MIST特異的に作用する薬物のスクリーニングを行う基盤が確立できた。
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