研究課題/領域番号 |
12556050
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
後飯塚 僚 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (50301552)
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研究分担者 |
林 克彦 東京理科大学, 生命科学研究所, 助手 (20287486)
柳田 誠 キリンビール株式会社, 医薬開発研究所, 部長補佐
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キーワード | アレルギー / マスト細胞 / シグナル伝達 / IgE受容体 |
研究概要 |
SLP-76ファミリーに属するアダプター分子MISTは、I型アレルギーの初期反応である肥満細胞の脱顆粒に至るFcεRIシグナル伝達において重要な役割を担っている。本研究では、抗アレルギー剤創薬の標的としてMISTと相互作用する分子のFcεRI受容体シグナル伝達における機能的関連性について解析を行い、またスクリーニング系を構築してMIST機能阻害物質の探索を行った。 1.マウスMISTを高発現させたラット肥満細胞株RBL-2H3細胞の抽出液から免疫沈降法により、MISTと会合する二つの主要なチロシンリン酸化蛋白(160kDaならび55kDa)を分離・精製した。それらのアミノ酸配列を決定した結果、160kDaの分子はSLAP130、55kDaの分子はSKAP55のラットホモログであることが判明した。COS細胞にこれら分子をLynと共に発現させて結合様式を解析したところ、MISTとSKAP55の会合にはSLAP-130の存在が必要であり、MISTとSLAP130の会合にはSKAP55は必要ないこと、また、MISTのSH2ドメイン変異体ではこれらの会合が認められないことから、MISTはSH2ドメインを介してSLAP130に会合し、SLAP130を介してSKAP55と会合することが判明した。さらに、MISTはSLAP130およびSKAP55を介して、Lynに間接的に会合し、その結果、LynによるMISTのチロシンリン酸化が増強することが明らかになった。RBL-2H3細胞においては、FcεRI刺激前からMIST-SLAP130-SKAP55からなるシグナル分子複合体が検出され、FcεRI刺激後1分以内に、MISTを含むこれらの分子はLynと4分子複合体を形成することが明らかになった。 2.FynおよびLynを発現するマスト細胞においては、MIST/SKAP55/SLAP-130複合体は優先的にFynと結合し、Fynの下流のFcεRIシグナル伝達に関与することが判明した。 3.Yeast two-hybrid法により、MISTはSrcキナーゼであるc-fgrおよび細胞質内phosphataseであるSHP-2と会合することが判明し、マスト細胞におけるそれらの会合も確認された。 4.MIST遺伝子のプロモーターに結合する転写因子をYeast one-hybrid法を用いて解析した結果、ホメオドメインをもつMeis1が結合することが確認された。Meis1欠損マスト細胞においてはMIST遺伝子の発現が認められないことから、Meis1はマスト細胞におけるMISTの発現に必要であることが明らかになった。
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