研究概要 |
今年度は次のような実験を行い、以下の結果を得た。 1.骨再生過程における間葉系幹細胞の性状の解析 マウス大腿骨骨幹部に直径2.2mmの円形の骨欠損を作製し,同部において増殖能を有する細胞の出現時期と分布をBrd Uの取込みで組織学的に解析した。その結果,骨再生3日目からBrd Uを取込む細胞が急増する事が明らかとなり,この時期に間葉系幹細胞が増加している事が示唆された。 2.骨再生過程における遺伝子発現の変動 上記実験と同じ骨再生モデルを用いて骨再生過程におけるALPとオステオカルシンmRNAの変動をノーザンブロツト法で解析した。その結果,骨再生4日目でALP mRNAの発現が上昇し,5日目でオステオカルシンmRNAが上昇することが明らかとなった。 3.上記2つの実験より,我々の実験系では骨再生4-5日目に間葉系幹細胞が増加していることが示唆されたので,現在正常の骨と骨再生5日目で発現レベルの異なる遺伝子をcDNAチップを用いて解析中である。 4.マウス頭頂骨に直径2.2mmの骨欠損を作製し,欠損部にアデノウイルスを用いてCbfa1,BMP-2遺伝子を過剰発現させた細胞を担体に付着させ,移植した。その結果,BMP-2遺伝子を過剰発現させた細胞を移植すると骨再生が促進することが明らかとなった。Cbfa1を過剰発現させた時は明らかな骨再生促進効果は確認できなかった。
|