ベトナム生物工学研究所、ハノイ大学医学部、国立小児科病院、マラリア研究所と「ベトナムにおけるG6PD欠損症の分子疫学的調査」に関する共同研究を開始して2年を経過した。2年目の平成13年度には共同研究協力者のDao氏の研究室に在籍する2名の大学院生が中心となって研究を進め、検体の収集とマススクリーニングが順調に進展している。マススクリーニング法はフィリピンで施行している我々の方法とは若干異なるが大差ない結果を得ている。当初、現地スタッフでMPTP分析までを実施することを本年度の目標としたが、未だ安定したMPTP分析結果が得られないのが残念である。 ハノイ北西部に位置するホアビン村はG6PD欠損症の罹患率が高いとの速報が既にある。実際、通常地域では5%以下であるが当地で収集した検体は約10%と高率を示した。ベトナムのG6PD欠損症は我々の開発したMPTP法でほぼ80%がその変異種が判明する。他の20%については本研究課題で購入したDNAシーケンサで検索している。これらの判明率は我々が以前行ったフィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシアの結果とほぼ同率である。G6PD欠損症の変異種の分布は国ごと、地域ごとに特徴が認められるが、現在までの分析結果ではベトナムのそれはフィリピンに近い。来年度が最終年度となるので検索地域を拡げるために検体収集に更なる意欲をもって臨み、システマチックな検索体制を確立・強化したい。
|