研究概要 |
本研究のテーマであるストループ効果は認知心理学において、わが国は別にしても国際的には注目されている現象である。 ストループ効果は1935年にStroop,J.R.が発表して以来今なお、研究が進められている心理学の歴史上まれな現象である。ストループ効果とは、色と単語の意味的に不一致な色刺激に対して色命名反応を行うときに見られる反応の遅れおよび困難性に関する干渉現象である。 一見するときわめて単純な現象のように思われるが、多くの認知心理学者をひきつけてきた。この効果はたんなる刺激が意味的に不一致であるために生じるためではなく、干渉の非対称性がある。不一致な色刺激に対して色で反応させるときには、干渉が生じ反応が困難となるが、単語を読ませたときには干渉は生じない。また、この現象は、単語の読み、注意、自動性に関係する現象であることから、認知に関する基本的な理論を検証するための試金石となってきた。さらにストループ効果のモデルを構築することの困難性は、18個の派生効果すべてを説明できるモデルが要求されていることである。 本研究の研究は米国ヴァンダービルト大学のG.D.Logan教授が海外共同研究者として参加している。彼は、ストループ効果について、自動性およびストラテジーに関して理論的な展開をしている。また、注意と自動性について、独自のインスタンス理論を展開し、記憶理論と学習理論との橋渡しを行っている。 現在、独自のモニタリングモデルを構築した。このモデルはストループ効果の課題事態を、認知課題を解決するため問題解決事態であるということから出発する。そして、被験者は問題を解決するためのストラジーを長期記憶から検索し、アルゴリズムに基づくルーチン群として構成する。 現在、基本的なモデルの構築は終わっており、ローガン教授とのアドバイスも直接現地に行くことにより、詳細に渡って受けることが出来た。
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