研究概要 |
本年度は、315名の青年(大学生)を対象に、(1)青年の認知による「家庭での父親の協力的関わり」と「夫婦関係」、「家族機能」との関連、(2)「家庭での父親の協力的関わり」、「夫婦関係」、「家族機能」と青年自身の「自我同一性」との関連、の2点について吟味を行うために、青年の自我同一性を測定する21項目〔宮下(1987)の訳によるRasmussenの自我同一性尺度の第V段階11項目、第VI段階10項目〕、家族機能を尋ねる14項目(西出,1993)、家庭での父親の協力的関わりを尋ねる14項目(尾形・宮下,1999)、夫婦関係を尋ねる24項目(大野・柏木,1992)の合計4種類の質問紙を実施した。そして、家庭での父親の協力的関わりの「母親や家族に対する思いやりとコミュニケーション」、「子どもとの会話」、「家事への援助」が高いほど、夫婦関係の「両親間の意志の疎通」、「父親の母親に対する許容性」、「母親の父親に対する許容性」や家族機能の「居心地のよさ」、「民主性」、「秩序の維持」、「自由な表現の許容」が高いこと、また、家庭での父親の協力的関わり(母親や家族に対するコミュニケーション、子どもとの会話、家事への援助)が高く、家族機能(居心地のよさ、民主性秩序の維持、自由な表現の許容)、夫婦関係(両親間の意志の疎通、父親の母親に対する許容性、母親の父親に対する許容性)が健全なほど、青年の自我同一性(第V段階も第VI段階も)が高くなる、などの結果を見いだした。
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