研究概要 |
2002年からの新教育課程に向けて移行措置期間である2000年度は,小学校音楽の現状と課題に焦点を絞って,質問紙調査と聞き取り調査,授業研究を行った。研究代表者,研究分担者のほか研究協力者を加えて,分析・検討の作業を進めた。調査対象の地域は,青森,崎玉,東京,千葉,長崎および他九州3県に限定し,7月下旬に調査を実施した(378回答,回収率58%)。弾力的なカリキュラム編成や授業時数削減への取組み,音楽科授業の実際,学校音樂と行事との関連,総合的な学習とのかかわりなど,学校および教師の実践レベル,意識レベルにまで踏み込んだ調査を行い,小学校音楽の動向や課題,教師の意識や行動の実際に迫ることが本研究のねらいであった。統計的な分析と整理,さまざまなデータ結果の解釈,詳細な聞き取り調査を通して,地域間の格差や学校規模の影響,専科と学担の違い,個々の問題意識の多様さ,学校の特色を生かした取組みの増加などが浮き彫りとなった。 本研究の成果は,日本音楽教育学会第31回大会(宮城教育大学)において。プロジェクト研究「小学校音楽の現状と課題」として発表し,学会誌『音楽教育学』第30-3号にもその概要を掲載した(共同執筆)。確かに、問題の一層の焦点化,授業研究との密接なリンクなどまだまだ課題も残されているが。学校音楽の実態,教師の本音に迫ったてのような調査研究は,実践研究を深めるための重要なステップと位置づけられるにちがいない。
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