研究課題/領域番号 |
12610335
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
有馬 学 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (80108612)
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研究分担者 |
中村 尚史 埼玉大学, 経済学部, 助教授 (60262086)
山室 建徳 帝京大学, 理工学部, 講師 (80158261)
季武 嘉也 創価大学, 文学部, 教授 (40179099)
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キーワード | 地域社会 / 政党 / 選挙 / 企業勃興 / 名望家 / 中央と地方 |
研究概要 |
本年度の研究は、主として明治期における近代化の初期段階を対象に、政治・経済システムの形成と地域社会の関連を、福岡県をフィールドとしつつ検討した。 この研究の方向性は、近代日本における政治・経済システムの形成過程において明確に存在した、<地方のバイタリティ>のあり方を明らかにすることに求められる。我々が検討した事例においては、そのような<地方のバイタリティ>の体現者は、自由民権運動期からの地方における政党活動のリーダーであり、同時に地方における企業勃興を担った資産家であった。したがって、地方における政党の組織化がどのような人々によって担われ、またその結果成立した政治的統合システムがどのように機能したのかという問いは、地方における企業勃興がどのような人々によって担われ、その結果成立した企業システムがどのように展開したのかという問いと全く重なるのである。 このような観点から、政治的・経済的近代化と地域社会の関連を明らかにするためには、府県レベルと町村レベルの中間的な地域を対象に、検討を行う必要がある。そのため、今年度の研究においては、福岡県三池郡を中心に検討を行った。このようにフィールドを限定する主たる理由は、当該地域においてまさに名望家的政治指導者にして同時に企業勃興を担った資産家であるという人物の豊富な史料を見いだすことが出来るからである。結果として、我々の検討が明らかにすると考えられるのは、<中央と地方>という関係が構造化する以前に、議会制や企業経営の定着過程をまさに主体として推進した<地方のバイタリティ>が明確に存在したということである。
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