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2002 年度 実績報告書

革命ロシアにおけるネップ体制の成立過程に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 12610385
研究機関金沢大学

研究代表者

梶川 伸一  金沢大学, 文学部, 教授 (50194733)

キーワードロシア革命 / 戦時共産主義 / ネップ / 飢饉
研究概要

1921年3月の共産党大全で採択された、割当徴発から現物税の交替に関する決議から始まる新しい体制「21年体制」をどのように捉えるかが今回の基本的研究テーマである。
今年度の研究で、次のことを新しい解釈として確定することができた。
第一に、従来のロシア、欧米学界ともに、現物税の導入とともに、これ以前の政策である戦時共産主義政策から断絶した政策が適用され、これにより通常では「ネップ(新経済政第)」と呼ばれる新しい体制が成立した、との主張が一般的である。だが、現物税の実施過程を見るなら、現実的には従前と殆ど同一の軍事態勢の下で徴税が行われ、抑圧的措置が頻繁に適用された。共産党指導部は、播種カムパニアにおける種子調達危機を一時的に回避するために、暫時割当徴発を停止し、現物税を導入し、この制度が恒常的であるとは、少なくともこの実施が決議された3月までは、想定されていなかった。限定しようとした「地方的取引」の範囲を超えて、市場が全国的規模で生じ、これはボリシェヴィキ指導部の想定を超えた現象であった。
第二に、このような市場の大規模な展開は、従来は「小ブル的心理」により小商いを求めて担ぎ屋が交換に殺到したと説明されてきた。しかしながら、当時の公文書館資料を検討するなら、このような担ぎ屋と呼ばれる交換の担い手の多くは、飢餓民であった。すなわち、餓死から逃れようと家財道具や家畜を清算して、大量の飢餓民が食糧を求めて大きな移動を行ったのが、全国的規模での市場の展開の理由である。
このことから、従来は21年の飢饉にもかかわらず、ネップが成功裡に導入されたとの主張が一般的であったが、飢饉こそがネップを生み出した最大の要因であった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 梶川 伸一: "ロシア革命の再検討"社会経済史学会編『社会経済史学の課題と展望』. 491-501 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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