本研究の目的は、公的介護保険の実施に当たり大規模な広域連合を設置した福岡県の「介護保険広域連合」の形成過程を取り上げ、その要因を抽出することにある。福岡県では97自治体中72の市町村が広域連合を構成し、その管轄人口は109万人を数え保険事務から財政まで一本化した大規模なものとなっている。平成12年度には、県下全市町村を対象にアンケート調査を、それと平行して個別の不参加自治体への聞き取り調査を行い、広域連合の設立経緯や組織の運営方法の実態把握を試みた。アンケート調査では44市町村から回答(回収率45.4%)を得、広域連合参加自治体からは33の回答(参加自治体の45.8%)があった。平成13年度は、研究計画での幾つかの仮説とアンケート調査、広域連合の支部、他県の広域連合での聞き取りなどを比較検討し、自治体規模の小ささとリーダー的自治体の存在が広域連合の大きな形成要因であることを明らかにした。
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