本年度の研究では、広域連合の政策改定の分析を展開した。とくに、広域連合に参加する政策の決定要因という課題については、いくつも要因が重なることによって政策決定がされた。デモグラフィックな要因としては、人口規模、高齢者人口比率が大きな要因で、それに次ぐのが所得であった。財政力はそれほど大きくは影響していないことが明らかになった。政治的な要因としては、広域連合への参加を検討した自治体政府が、直接的に参加する理由を内在要因と外在要因に分け、内在要因では、財政基盤の弱さと専門技能の確保が大きく作用していたが、財政基盤は首長部局が主観的に考えていたほど働いていないのは先に見たとおりである。そのため、内在要因では専門技能の確保が最も重要だと思われる。また、外在要因では、広域連合への参加の拡大という視点からすれば、近隣・同水準の市町村の動向が作用することにより、「政策の拡散」でもあった。ただし、それは近隣県の動きの影響は小さく、日頃からの広域提携の延長で<一緒に広域連合に参加する>というパターンが多かった。
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