研究分担者 |
小池 和彦 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70146306)
仲根 孝 青山学院大学, 理工学部, 助教授 (50082805)
伊原 信一郎 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30012347)
山口 学 青山学院大学, 理工学部, 助手 (60306503)
谷口 健二 青山学院大学, 理工学部, 講師 (20306492)
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研究概要 |
服部の関数族,およびその一般化である力学系のイテレイションから生じる関数族の微分の数値計算を級数展開に従って行った。服部の関数族に対しては,関数がいたるところ微分不可能となるパラメーターの閾値が1/√3であることを,対応する力学系のリアプノフ指数の数値実験によって確認することが目的であった。対応する力学系が,数値実験を念頭に置いた場合には予想以上に複雑であり,かつ測度論的な軌道の分布の収束の速度が遅かったため,目標とするリアプノフ指数の閾値log√3に十分に近い計算結果は得られなかった。しかし,この値よりも低い値に収束するような挙動も観測できなかったので,原因はおもに分布の収束の測度にあると考えられる。一方,服部の関数族以外の関数族としては,特に一次元の非対称な高木関数と,一次元の高木関数の組み合わせによって構成される二次元の関数族を扱った。一次元非対称な高木関数については,数値実験の結果としては,対称な高木関数の場合と特に異なったものは得られず,数学的に興味のある結果は生じなかった。しかし,この場合には凸となるパラメーター値,リプシッツ連続となるためのパラメーター値は決定できる。次に一次元の高木関数の組み合わせによって構成される関数族については,やはり対応する力学系が,数値実験を念頭に置いた場合には予想以上に複雑であり,現在,十分に信頼できる結果が得られるだけの実験をなし得ていない。したがって数値実験結果から関数族の振る舞いに関する具体的な予測,予想などを立てるのは次年度以降となる。
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