研究概要 |
山口は従来の研究でR^3空間での平衡電磁場エネルギーをC^nへ拡張してロバン定数を定義したが今年度の研究では海外共同研究者のN.Levenberg氏と共にこれを複素多様体に拡張し,これを使って擬凸状領域での皆既多重劣調和関数を作る方法を見いだした.次年度に論文としてまとめる予定である.また,彼と共同して,岡潔の論文に沿って書かれた西野利雄著「多変数関数論」(東大出版)の翻訳を行った.これはこの4月にアメリカ数学会から366ページの本として出版される. 解析学において,解の存在を示すためにリースの定理は不可欠である.しかし,それは近似問題とは遠く隔たったものだと思われていた.坂本は今年度の研究で従来のリースの定理を深く調べれば実はそこに近似定理自身が潜んでいると言う画期的な事実を見いだした.その事実を用いてR^n空間の領域での線形偏微分方程式の境界値問題に関する弱解についての近似定理が成立すること示した. 宮武は一階の非線型偏微分方程式の初期値問題をハミルトン流の研究と関連させて考察した。初期データに応じて、ある適切な流れが定まり、一階偏微分の解及びその一次微分がハミルトン常微分方程式系の解となる。この性質と比較定理を使うことにより、ルベーグの意味で二回までの偏微分が有界な関数空間で解が構成出来ることを示した。
|