研究分担者 |
浅倉 史興 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20140238)
田原 秀敏 上智大学, 理工学部, 教授 (60101028)
猪狩 勝寿 愛媛大学, 工学部, 教授 (90025487)
坂田 定久 大阪電気通信大学, 工学部, 助教授 (60175362)
山原 英男 大阪電気通信大学, 工学部, 助教授 (30103344)
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研究概要 |
バウエンディーグラウイック(M.S.Baouendi-C.Goulaouic)の意味のフックス(Fuchs)型偏微分方程式,すなわち,初期面に沿って確定特異点をもつ線形偏微分方程式が,我々の重要な研究対象の一つである.このフックス型作用素においては,1変数だけが特別な働きをする(これをフックス型変数と呼ぶ).今年度は,前年度までの研究において得られた諸結果やアイデアを,フックス型変数が2つ以上ある場合(N.S.Madi氏による定義を採用した)に適用できるかどうかを明らかにすることを,始めの主目標とした.アルジェリアのM.Belarbi氏やM.Mechab氏の協力を得る事ができ,特に実領域における超関数解の存在について考察した.従来のフックス型変数が1つの場合の議論だけでは,どうしても超えられない部分が生じたが,複素領域における斉次方程式のすべての解の構成を行ったときのアイデアを援用することで,ある程度の結果が得られた. 複素領域における斉次方程式の解(初期面にのみ特異性(多価性も許す)を持つ解)の構造を大域的に明らかにすることについては,前年度同様考察を加えたが,まとまった結果には至らなかった.難しさの核心のようなものはつかめてきているが,解決にはもう1段のアイデアが必要である. また,田原を中心として非線型フックス型方程式の研究も進み,複素領域において,見かけの特異性を持つ解が実は正則解となるための十分条件について,改良に成功した. また,派生的に生じる常微分方程式に関する問題について,坂田を中心として,区分的に一定な時間遅れを持つある2次元微分方程式系x'(t)=-α{1-|x(t)|^2}R(θ)x([t])に対し,係数αをパラメータとして,この系が漸近安定な場合と星形の周期解が存在する場合との分類をαを用いて行った.
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