研究概要 |
12年度は専ら実験環境の整備と予備実験を行った。実験の手順はまずMgオーブンからの原子線をトラップ内に導入し、ここに電子衝撃を与え、Mg^+を生成し、これを高周波電圧(2MHz,300V)でトラップする。つぎに共鳴レーザー光(280nm)を照射し、レーザー冷却法で十分に冷却する。Ar^+レーザー励起色素レーザーの出力の2倍波をつくることで、280nm,約1mWの光束を作ることが出来た。 Mgには同位体が^<24>Mg:^<25>Mg:^<26>Mg=8:1:1の割合で存在するが、実験の精度をあげ、かつ冷却効果をあげるためには不要の同位体を除去しなければならない。ラジオ波共鳴法によって^<24>Mg以外の同位体を除去することに成功した(Appl.Phys.B70,867、(2000))。次にここに中性Ba原子を注入する。電荷移行がおこり、かつBa^+がトラップされれば、Ba^+に共鳴するレーザー光を照射することにより、Ba^+からの蛍光が観測されるはずである。これにはBa^+の共鳴線^2S→^2P遷移(493.5nm)とリパンピング遷移^2D→^2P(650nm)とに共鳴する2本のレーザーが必要である。前者は安定化した半導体レーザーの出力の第2高調波をとることにより、後者は2台目のAr^+レーザー励起色素レーザーでつくった。これらの結果、Ba^+からの蛍光が観測された。したがって電荷移行反応が起こっていることが確認されたことになる。
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