研究概要 |
生成されたバリウムイオンは反応しなかったマグネシウムイオンとともにrfトラップ中に捕捉される。この状態では、バリウムイオンはレーザー冷却されているマグネシウムイオンとの衝突を通じて冷却されている(共同冷却)。共同冷却でのバリウムイオンの到達温度を理論的モデルによって計算した。このモデルではフイッテイングパラメーターを用いていないが、観測結果とよく一致した。従って、共同冷却の特性を良く表したモデルになっていると考えられる。 平成13年度中の成果であるラジオ波共鳴法によって測定されたイオン運動の共振周波数は、1種類のみのイオンをトラップした時の共振周波数と異なっている。例えば、Ba^+のみをトラップした場合の共振周波数は69kHzであるが、本研究で観測された共振周波は115kHzであった(本研究で観測された共振周波数は115kHzであった(本研究で用いた実験条件における値)。このような周波数シフトはその他のイオン種(Ca,Zn,Sr,Yb)でも見られた。この周波数シフトの原因は、これらのイオン(ゲストイオン)が、レーザー冷却されているMg^+(ホストイオン)とともにトラップされているためと考えられる。そこで、Mg^+のイオン雲と、1個のゲストイオンの2体問題における共振周波数を計算によって求めた。このモデルでは、合計4つの振動モードが考えられるが、そのうちの1つが実験結果と極めてよく一致することが明らかになった。更に、別のもう1つのモードの共振周波数を実験的に測定することにも成功した。このモードは励起されにくいため、外部より印加するラジオ波の強度をあげる必要があった。(その他の2つのモードはMg^+自身の共振周波数に極めて近く、互いに区別することが困難であった。)
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