研究概要 |
舞鶴市と周辺地域の地質調査を継続し,岩石試料を採取した.今回採取した試料は薄片作成中である. 採取した舞鶴帯の各種岩石について,薄片を作成し,鏡下観察した.泥岩と砂岩泥岩互層,また酸性凝灰岩には圧力溶解劈開が発達している.薄片は定方位薄片であり,非対称構造の有無を観察した.例外的な薄片を除いて,非対称構造は観察されない.これは含有放散虫化石を用いた歪み解析の結果であるオブレート型の歪みと調和的である.劈開は露頭でも観察される非対称褶曲の軸面劈開でもある.非対称褶曲は南東フェルゲンツで同じセンスである北東側上がりの逆断層を伴っているが,鏡下でも劈開を切って、劈開形成にわずかに遅れて生じたと判断できる逆断層が観察できる.例外的な非対称構造はこの様な逆断層の剪断部に当たると判断した.以上を総合すると,舞鶴層群の構造は比較的単純で、圧力溶解劈開を伴う非対称褶曲と逆断層による伏臥構造であり,これがD1である.D2のキンク褶曲はD1の劈開をまげて発達しており,トレンドも異なっている.公庄層や三畳系にはD2キンクの軸面劈開のみが認めら,D1の変形は無かった. 斑糲岩については,定方位薄片で層状構造を観察したが,これは再結晶した輝石・角閃石と斜長石の平行配列で定義されている変成構造である.非対称構造は一切認められず,泥岩のD1劈開と同じ起源を持つと思われるが,さらに検討中である.斑糲岩ばかりでなく,玄武岩についても,変成鉱物の同定を鏡下,EPMAで行った.鉱物組み合わせから,オフィオライト層序の下位程,変成度が高い中圧型であることが明らかになりつつある.これはM1の変成作用であり,泥岩の温度・圧力型と同じである. 以上から,夜久野オフィオライト舞鶴層群は付加に伴う,つまり海溝でのD1の変形時に,異常な中圧型のM1の変成作用を受けたと考えられ,今後さらに補強したい.
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