研究概要 |
舞鶴層群と夜久野オフィオライトの玄武岩に挟まれる泥岩,また比較のため公庄層・三畳系の泥岩について,イライト結晶度(IC値)とbo値を測定した.試料は14年度までに採取した試料を用いた.測定は既存のX線回折装置を用いた.IC値は変成作用の温度の指標となり,bo値は温度にも依存するが主に圧力の指標となっている.bo値の累積頻度図,また新たに考案したIC-bo図は圧力型を決定するうえで有効である.舞鶴層群と夜久野オフィオライトの泥岩は中圧型に属していることが明らかになった. 玄武岩・斑糲岩については,薄片を作成し,EDSによる鉱物の同定・組成決定をさらに進めた.この結果,これら玄武岩・斑糲岩も中圧型変成作用を被っていることが明らかになった.なお,これらに含まれる変成鉱物の組成変化から,露頭では観察できていないが存在が予想される褶曲に玄武岩・斑糲岩も参加していることが示された. イライトの晶出や玄武岩・斑糲岩における変成鉱物の形成はM1の変成作用時のものであるが,M1は付加体形成時のD1の変形作用と同時である.従って,中圧のM1変成作用は沈み込み帯で起こったことになる.夜久野オフィオライトは冷たく無い海溝域で生じた. 公庄層・三畳系の泥岩はIC値がより小さく,低温で生じていて,これらが前弧盆堆積物起源であることと調和的である.石灰岩に含まれる化石種や砂岩・礫岩の礫種は舞鶴層群と大きな変化は無いが,公庄層・三畳系では円礫である特徴がある. 参考のため,トルードスオフィオライトの非変質の黒色ガラスを分析中である.
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