研究概要 |
1.RFプラズマ援用超微粒子衝撃コーティングによる高品質DLC膜形成 従来の成膜領域でのDC高電圧印加による方法に加えてRF及び磁場(ECR条件)の重畳が可能な膜形成装置を設計試作し,成膜の高品質化と効率化を検討した.その結果,(1)膜成長速度は従来に比べて1桁向上し,表面清浄化(イオンエッチング効果)による粒子付着確率の向上が顕著に認められた.(2)膜成長速度の向上への磁場援用の効果は大きいが,RFプラズマ援用の効果は低かった.これについては,RF投入パワーの適性条件の把握を含め,さらに検討を進める必要がある.(3)Arイオンエッチング効果としての膜質変化は顕著でなく,今後は水素による化学的エッチングについて検討する. 2.イオンビーム援用超微粒子ビーム加工装置の動作確認 炭素超微粒子を超高速に加速するために不可欠な高帯電化の課題を究明するため,帯電実験専用の装置を設計製作し,大電流電子ビーム照射装置(試作)の基本性能と凝集超微粒子の分散化供給法について検討した.その結果,(1)電子ビーム照射装置は従来よりも高電流密度の発生が可能であり,その電流電圧特性を理論的に把握できた.(2)既成の凝集状態の超微粒子を分散状態で安定供給するために,ある溶剤中に均一分散後に冷却凝固させた試料を真空中で昇華させることによって超微粒子を供給する手法を提案した.(3)前記の超微粒子供給法について,高濃度の超微粒子を高度に分散させた試料からの効率的供給が可能なこと,試料温度調整による供給量制御が可能なことを明らかにした.来年度は,電子ビーム照射装置による超微粒子の帯電実験(帯電量測定)を行う.
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