| 研究概要 |
イチゴ果実におけるpelardonidin malonylglucoside(PMG)生成は多量に生成する因子(Pmg-1)と微量に生成する因子(Pmg-2)の2遺伝子に支配され,それぞれPMG生成が優勢であることが明らかになった。また,日本で栽培されている品種の中にはPmg-1をホモで有するものは見いだされなかったが,オランダで育成された'Elsanta'の自殖後代の果実からはすべてPMGが検出されたことから,本品種がPmg-1をホモで有することが明らかになった。
野菜茶業試験場保存品種について果実のアントシアニン組成の分析を進めた結果,海外の品種についてはPMGを多量に生成するもの,微量に生成するものと検出されないものの比率は12:3:1の分離比に高い適合度を示した。日本で育成された品種についての昨年までの分析の結果では,PMGが検出されない品種の比率が高く,12:3:1の分離比に対する適合度が低かった。しかし,今年新たに調査した21品種についてはすべてからPMGが検出されたことから,昨年までとは異なり,12:3:1の分離比に対する適合度は比較的高くなった。
現在,'女峰'自殖第1代に'さちのか'または'愛べリー'を交配した世代を育成し,第1代のPmg遺伝子の遺伝子型の推定を行っている。この結果が得られれば,PMG生成因子と他の実用形質との間の関係が推定し得るものと考えられる。
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