エネルギー消費を促進する食品成分を検索する目的で、本年度は主に生姜、唐辛子ならびにカフェインなどの香味食品ないしは香味成分の食餌に対する添加効果を追究した。ラットを高糖質食あるいは高脂肪食で飼育して、小動物代謝計測システムを用いた呼気分析によって酸素消費量ならびに炭酸ガス発生量を48時間連続的に測定し、香味食品添加の前後でエネルギー消費量を算定した。ラットの酸素消費量と呼吸商は、夜間摂食時に高く昼間は低いという日内変動が認められるので、実験食は暗期12時間のみに限定して与え明期には給水のみとした。 高糖質食あるいは高脂肪食に2%になるように生姜または唐辛子を添加すると、摂取エネルギー量は減少するにもかかわらず、暗期摂食時の累積酸素消費量は有意に(3〜4%)増加した。一方、交感神経を興奮させる働きを持つ食品成分であるカフェインを0.05%の割合で添加すると、高糖質食よりも高脂肪食で摂食時の累積酸素消費量が有意に増加した。 次に呼吸商に及ぼす影響を調べると、各実験食への生姜ならびに唐辛子の添加によって摂食時の呼吸商は低下する傾向を認めたが、カフェインの添加は摂食時の呼吸商を上昇させた。これらの事から、生姜、唐辛子、カフェインのような香味食品は、摂食時の酸素消費量を増加させエネルギー消費を促進する作用のあることが明らかになった。さらに、生姜や唐辛子が脂肪の燃焼を促すと思われるのに対し、カフェインはむしろ糖質を多く燃焼させると考えられる。 なお、摂食調節作用をもつ神経ペプチドのエネルギー消費に及ぼす効果については、ラット第三脳室内へ投与するための予備的実験を行った。
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