研究概要 |
本年度はオピン標品の合成,内部標準物質として利用を諮るためのオピン様物質の合成,および汎用生体アミノ酸分析システム(o-phtalaldehyde/次亜塩素酸ポストカラム検出)を用いたオピン類の一斉分析法とこれに先立つ1級アミン類とオピン類の分画法について検討を進めた。オクトピン(市販)を除く4種のオピンに加えて,N-(Carboxyethyl)-L-serine,N-(Carboxyethyl)-L-histidine,N-(Carboxyethyl)-4-aminobutyric acid,N-(Carboxyethyl)-5-aminovaleric acid,N-(Carboxyethyl)-6-aminohexanoic acidの合成を完了した。一方,1級アミンとオピン類の分画法についてはo-phtalaldehyde誘導体化後,逆相系Sep-Pakカートリッジを用いることによって両画分を効果的に分画可能であることを確認した(この条件では1級アミン類のみが誘導体化され,カートリッジに保持される。オピン類は非吸着画分に定量的に回収される。)。ただし,o-phtalaldehydeとの反応時間が長すぎた場合,オクトピンの回収率が低下する現象が観察された。また,オピン類の定量を陽イオン交換系HPLCカラムを用いて行うことを考慮すると,o=phtalaldehydeとの反応時に用いる緩衝液には揮発性成分を用いる必要があると考えられた。生体アミノ酸分析システムによるオピン類の一斉分析の可能性を検討した結果,5種のオピンの分離定量が可能であった。1級アミン類との分画が可能になったことを踏まえてシステムプログラムを改良し,分析時間を45分(洗浄,平衡化を含めると100分)まで短縮した。現在,各種海産無脊椎動物のエキスを用いて,生物試料への応用を確認中である。本分析法は,ほぼ完成したと考えられるので,近々に然るべき雑誌にレポートする予定である。
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