ネオガラクトシルアルブミン(GSA)のSH基を活性化、遺伝子と複合体を形成する性質を有ずるデンドリマー(G4)にマレイミド基を導入したものと反応させ、GSA-G4を合成、オリゴDNA(olDNA)の担体とした。GSA-G4と^<111>In-olDNAを混和し、GSA-G4/DNA複合体を形成、正常マウスに静脈内投与、体内分布を調べたところ、肝臓へのolDNAの集積を認めたが、同時に腎、肺、脾への高集積も見られ、GSA-G4とolDNAの結合が不安定で、かなりのDNAが血中で遊離したこと、および高分子量の複合体が形成されたことがその原因と考えられた。 そこで、GSAと同様に豊富な糖鎖を有し、肝細胞に取り込まれる性質を有するアビジン(Av)を用いて同様の検討を行った。Avにビオチン(bt)を介してolDNAを結合させたもの(Av-bt-DNA)、およびG4にbtを介してAvを結合させ、これとolDNAを反応させたもの(Av-bt-G4/olDNA)の二種類の複合体を合成し、正常マウスにおける体内分布を検討した。Av-bt-olDNAは、肝臓に非常に高い集積を示し(投与15分後:40.76%、60分後:・38.31%)、一方他臓器へのAv-bt-olDNAの集積は低く、高い肝臓・バックグラウンド比が得られた。Av-bt-G4/olDNA複合体でも、肝臓への中等度の集積(15分後:21.04%、60分後:23.24%)が得られたが、同時に肺、脾への非常に高い集積が認められ、GSA-G4/DNA複合体と同様に高分子量の結合体およびその凝集体が形成され、肺、脾にトラップされたものと思われた。Avを用いる肝臓へのolDNA運搬の可能性が示されたが、Av-bt-G4/olDNA複合体では、凝集体形成の問題があり、門脈内投与など投与ルートを工夫する必要がある。
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