対象:2000年6月より2001年9月までに50歳以上の男性160人を対象に疫学的研究を行った。 方法:1.食生活(肉類、魚介類、野菜類、米食)、嗜好品(タバコ、アルコール)の問診調査。 2.前立腺重量の算出 経直腸的超音波断層法(TRUS)にて測定し、正常前立腺群と前立腺肥大群に分類した。 3.血中ビタミンA(レチノール、ベータカロチン、レチノール結合蛋白)および脂質(総コレステロール、トリグリセリド)の測定。 4.今回の研究に際し、患者さんへの問診調査および検体採取にあたり、今回の研究の趣旨を十分説明し、患者さんの同意を得た後に実施する。また他の目的で解析を行わないこと、結果に対する患者さんのプライバシーを厳守すること、研究に同意しない場合でも決して不利にならないことを説明、徹底する。 結果:1.前立腺肥大群(40例)、正常前立腺群(120例)において、年齢、身長、体重で有意差を認めなかった。 2.問診調査では、当該地域は両群共に肉類摂取頻度が低く、魚介類、野菜類、米食の摂取頻度が高い傾向を認めた。 3.血中ビタミンA群ではベータカロチンのみが前立腺肥大群において有意に高値であった。 考察:今後これらの結果をさらに詳細に分析、検討する予定であるが、ベータカロチンは前立腺増殖に対しpositiveに作用している可能性が考えられる。
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