平成12年度はMTH1遺伝子欠損においては野生型マウスと比較して、肝臓など体細胞におけるmutation frequencyが高くなることが明らかとなった。この結果を受けつつ本研究課題の目標である"卵巣中卵子の遺伝子変異と不妊症との相関モデル系の開発"へ向けての準備が整った。 ミューテーションを測定する方法として、従来の(1)大腸菌rpsL遺伝子の導入(HITECマウスバックグラウンドの導入)に加えて、新しく(2)mutation frequencyを測定する方法としてGFP遺伝子に変異を導入し復帰変異によって発色する細胞数の測定から遺伝子変異を測定する系の開発、を平成12年度は計画していた。(1)に関してはMTH1ノックアウトマウスに掛け合わせでrpsL遺伝子を導入した個体を多数作出し、rpsLを持ちMTH1^<+/+、+/-、-/->のマウスをそれぞれ約20匹ずつそろえ、平成13年度より照射実験に入る準備が整った。また、肝臓などに於いてmutation frequencyの測定を行った(2)に関してもEGFP遺伝子の発色基団に変異を導入し、G→Aの復帰変異が起こると発色が確認されるプラスミドコンストラクトを完了した。さらに、このプラスミドには全身での観察が可能なようにpol IIプロモーターを付けた。平成12年度末よりトランスジェニックマウス作出に入っている。
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