研究概要 |
本年度は,初年度に引き続き,看護・介護のための口腔保健プログラム作成に必要な基礎データとなる口腔保健状況,口腔環境を経年的に診査し,口腔保健管理を行っていくにあたって必要と思われる身体状況に関する調査を行うとともに,看護・介護者のための口腔保健プログラム作成の基礎資料を作成するために,口腔保健状況の解析を実施した。調査対象は障害児(者)施設に入所者および,当施設において医療,療育ならびに機能訓練のために通院・通所している在宅障害児(者)である。口腔診査は被検者を視診型診査法にて実施し,歯牙の状況については健全歯,処置歯,未処置歯,喪失歯別に診査した。なお,う蝕検出基準はWHOの基準に従って行った。歯周疾患についてはPMA IndexとGingival Index(GI)で,歯口清掃状況についてはOral Hygiene Index-Symplifide(OHI-S)とPlaque Index(PlI)で評価した。解析を行った結果,口腔保健状況に関して,う蝕状況は40歳代で約2本の増加を示した以外,大きな変化はみられず,歯周疾患状況ではPMA-I値は30歳代を除き,GIは各年齢階級とも経年的観察によって高値になっており,特に40歳代ではPMA-I値が3.5増加した。歯口清掃状況については大きな変化はなかった。また,両調査のPMA-I,GI, OHI-S, PlIの関連性をしらべたところ,各診査項目間に有意な相関があった。歯肉増殖の有無とPMA-I, GIとの関連性では,歯肉増殖のある者の方がPMA-I, GIとも有意に高かったが管理後では有意差は認められななくなった。また,長期にわたる障害児(者)う蝕の評価法について分析,検討したところ,う蝕経験を表すDMF者率で評価すると10代未満群以外の年齢階級では管理当初から100%ととなってしまい,管理評価ができないことが明らかとなった。しかしう蝕有病を意味するD者率では管理していくにしたがって減少していくことが示された。
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