研究概要 |
RESS法により得られた医薬品粉末の平均粒子径は、イブプロフェンで2.0μm(26MPa・40℃)、フェニルブタゾンで0.7μm(26MPa・32℃)、フルルビプロフェンで1.1μm(26MPa・40℃)であり、マイクロからナノオーダーの微粒子が調製できた。これは原薬あるいは振動型ロッドミル30分粉砕物と比較してもシャープな粒度分布で粒子径も小さかった。次に、析出粒子の性状に及ぼす噴霧前条件(圧力・温度)の影響を検討したところ、イブプロフェン、フェニルブタゾンにおいては、高圧・低温にすることにより得られる粉末の粒子径が減少した。また、フルルビプロフェンにおいては等圧条件下、温度を低くすることにより得られる粉末の粒子径が減少した。さらに得られた微粒子の物性を検討した結果、フェニルブタゾンは原薬のδ形とは異なり、より高い溶解性を示すβ形結晶であることが確認された。 フェニルブタゾンを用いて噴霧後条件(ノズル口径、ノズル温度、噴霧CO_2量、コック開閉割合)の影響を検討した。ノズルの口径を0.23,0.33mmと変化させてフェニルブタゾンを噴霧析出させたところ、粒子径の変化は認められなかった。一方、ノズルの温度を32,80℃と変えると、ノズル温度の上昇に伴い粒子径が増大した。次に1回噴霧CO_2量を0.07,0.18,0.33molと変化させてフェニルブタゾンを噴霧析出させたところ、1回噴霧CO_2量の増加に伴い得られた粉末の粒子径が減少する傾向が観察された。イジェクターのコックの開閉割合を0,50,100%と増大させると、得られた粉末の粒子径は減少した。コックを開くことによる吸引速度の増加は捕集槽内のCO_2の残圧を減少させ、これが超臨界溶液噴霧時の高い過飽和度を生み出し析出する粒子サイズが減少したものと推察された。
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