本研究は、学校教育における「まちづくり」をテーマとした総合的な学習の意義を明らかにしながら、その社会教育との連携の可能性について探ることを目的とし、新潟県上越市の小・中学校と地域活動を中心とした実践例をもとに、分析、考察を行い、そのあり方について研究したものである。 現在の日本社会における政治・経済の変化は、地方のあり方を再認識させるものとなり、地域社会の中での「まちづくり」というテーマ自体が重要なものとなっている。そして、子どもたちも含めた住民への市民教育や地域を創造していく人の育成といった視点が、地域全体に求められている。今まで学校教育では行われてこなかったこのような地域に根ざした市民教育の場として「総合的な学習の時間」の持つ意義は大きい。 地方自治体である新潟県上越市の「まちづくり」に対する積極的な取り組みを背景として、市内の小・中学校が学校教育の中でどのような実践を積み重ねているか、また、それに地域住民がどのようにかかわり、互いに学び合っているか、それらの実践例をもとに総合的な学習のあり方について考察し、検討を加え、今後の方向や課題をまとめた。 地域が、学校を核にして子どもたちを育てていくという考え方に基づき、学校教育と社会教育が連携して教育実践を重ねていくことにより、新たな学校教育の可能性やそのあり方が明らかにされてくると考える。
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