研究概要 |
カリキュラムには、大きく分けて、「意図されたカリキユラム」「実施されたカリキュラム」「達成されたカリキュラム」の3つのレベルがある。平成13年度は、平成12年度において暫定的に設定した認知意味論的分析枠組みにもとづき,「実施されたカリキュラム」および「達成されたカリキュラム」の分析を主にすすめた。まず,現職中学校教員で数学科指導経験を有する17名を対象に質問紙調査を行ない、数学的概念の扱い方についての教師の考え方を分析した。その結果,中学校数学の主要概念について,さまざまな認知モデルが同定された。 次に,授業の中で実際にどのように数学的概念が導入されたり発展・深化しているかを調べるために,中学校の現職数学教師1名を選出して,授業観察を行なった。中学校1学年の「方程式」および「変化と対応」の授業を、ビデオカメラやミニディスクレコーダによって記録し、教室内ディスコースを中心に分析を進めた。同時に,その授業に参加している生徒達にインタビュー調査を実施し,「方程式」および「変化と対応」に現れる数学的概念についての理解の状況を把握した。現在データの分析を進めている段階である。暫定的な知見として,数学的概念の導入において教師が想定している認知モデルと生徒達の利用している認知モデルにかなりのギャップがあることがうかがわれた。また,生徒達の問題解決活動において,数学的に不適切な認知モデルが利用されている現象がしばしばみられた。
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