研究概要 |
モデル的な生ごみとしてドッグフードを用い、容積30lの実験室規模装置でコンポスト化した。コンポスト化にともなって発生する炭酸ガスを連続的に測定し、累積炭酸ガス量を計算するとともに、あらかじめ元素分析により求めておいたドッグフード中の炭素量のうち炭酸ガスにまで分解された炭素の割合を計算して、有機物分解率を定量した。有機物分解率をモニターしながら有機物が0、20、40、60、および80%まで分解したときにコンポスト化を終了させたものと、最終値の85%付近まで分解させたものを準備した。また、このようにして得た有機物分解程度の異なるコンポストは、その中に含まれる菌体の16SrDNA遺伝子領域の制限酵素消化パターンを指標にして微生物相解析をおこなった。コンポストは滅菌水に懸濁し、菌体を回収した後溶菌して、菌体に由来するDNAを回収・精製した。精製したDNAは16SrDNA遺伝子領域をTaKaRaLATaqを用いてPCRで増幅させ、数種類の制限酵素で切断してサブマリン型の泳動装置を用いてゲル電気泳動をおこない,その泳動パターンを解析した。有機物分解にともなって微生物相に顕著な遷移が観察されたが、特にコンポスト化前半において変化が際だっていることを明かにした。また、本実験システムでは有機物分解が極めて再現性よく進むため、微生物遷移も良好な再現性があることを確かめた。なお、微生物相解析と同時におこなったコンポスト原料中の糖質、蛋白質、脂肪、セルロースの分析結果は、有機物分解と微生物相変化との間に密接な係わりのあることを示唆するものであった。
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